2015年10月14日水曜日

〝遊び仕事〟-子どものときの思い出

これからの時代に対応するためには、
 どのようにしたらよいのだろうか・・・

私が子どものとき、父のところにある役員を引き受けてもらえないか、と数名の方が訪れてきました。
そのときの父は、
 うちは親が早くに亡くなり、子どもが小さいため、〝遊び仕事〟をしている余裕はない。
 子どもが仕上がって、〝遊び仕事〟ができるようになったとき、私ができることは協力させていただくが、いまの時点ではお引き受けいたしかねる。
と返事をしていたことをいまでも覚えています。
このとき〝遊び仕事〟というのは、いったいどういうものなのだろうと不思議に思ったものでした。
その後、親せきのおとなたちをはじめ、近所のおとなたちの会話に、ときどき〝遊び仕事〟ということばが出ることに気づき、その意味が少しずつわかってきました。

〝遊び仕事〟とは、いろいろな団体などの役員になったりすることであり、それがために父が〝遊び仕事〟を始めれば、本業である農業(私の生家は、専業農家でした)に携わる時間が少なくなり、母や私たちへの負担が増えるというものでした。

地方、それも田舎にあっては、ある年齢に達していて、〝遊び仕事〟ができるような状態になったにもかかわらず、そのお誘いがないことは、たいへん不名誉なことだと考える風潮もあって、客観的には能力的に疑問がある人物ほど、名誉を求めたいという欲求がつよいのか、
 つぎの農業委員には、おれがなりたい
などと言いふらし、地域のひとびとを困らせる者もいたように記憶しています。

いまでも地方の市町村議会の議員をみていますと、若い議員もいますが、事業に成功され、息子さんが事業を引き継いでいる方であるとか、跡取りががんばっている農家の方などが多いように感じます。

いまのような議会の運営では、サラリーマンであるとか若い事業者などが議員になることは、たいへん難しいのではないかと思います。

先に行われた群馬県南牧村の村議会議員選挙は、無投票になりました。


群馬県南牧村の村議会議員選挙が無投票になったことについて、「選挙毎日」の記事(↓)
http://sp.senkyo.mainichi.jp/news/20150923ddlk10010160000c.html
を引用させていただきます。

    選挙:南牧村議選、連続無投票 「高齢化率日本一」
           防災、人口対策語られず 低報酬で新人出にくく /群馬 

 任期満了に伴う南牧村議選(定数10)が22日告示され、現職9、新人1の計10人が立候補、前回2011年に続き無投票で新議員が決まった。「高齢化率日本一」で消滅可能性も全国一高いとされる南牧村。選挙で処方箋を出し合い、選ばれた住民代表に村の未来を託すという流れにならなかったのはなぜか。【畑広志】

 今回、無投票当選した10人全員が60代以上の男性で、平均年齢は69歳(前回は66歳)。現職9人のうち7人は、07年の選挙戦で当選して12年間の任期を得たことになる。残る2人も補選に続く連続無投票だ。

 07年の選挙戦は、台風9号で停電や水道管損傷、道路陥没の大きな被害が出た直後。候補者らは早急な復旧対策を呼びかけて集落を回った。今回は、昨年2月の大雪で村ごと孤立したことに伴う災害対策や、自治体消滅の危機に直面する人口急減対策が、喫緊の課題となっていた。

 村人口は8月末現在で2132人。うち59・62%を65歳以上の高齢者が占める。「日本創成会議」の推計では20〜39歳の若年女性人口が30年間で10分の1に減り、2040年には10人だけになる。ある村職員は告示前、村民から「無投票ではだめだ。選挙をしなければ」と強い言葉をかけられた。「確かにその通りだ」と感じたが、「それならあなたが出ればいいのでは」という言葉は、のみ込むしかなかったという。

 空き家を活用した移住促進事業が10年に始まり、今年7月現在で14世帯26人が村外から移住してきた。消防団員や地区役員になって活躍している。それでも、議員になろうという動きはない。議員報酬は月額20万円だが、財政難で1割カットされ、現在は18万円。現職議員の一人は「この金額では子供のいる家族が生活していくには厳しい。一方、会社勤めの人は議員活動の時間が取れなくて難しい」と指摘する。

 今年6月の定例会に議員定数を2削減して8とする条例改正案が提出された。提案理由は「財政難」と「住民の意向」。採決では可否4票ずつとなり、議長裁決で否決された。石井輝雄議長は「定数が削減されると選挙慣れしている現職が有利となり、ますます新人が出にくくなる」と説明した。人口が減り、税収が減り、住民の関心も低下し、議員を減らす−−こうした「縮小均衡」では未来の展望は開けないという意味だ。

 各種選挙で投票率低下が続く中、8年前の南牧村議選の投票率は89・42%。昨年4月の村長選は86・71%で、前回より7・3ポイント上昇している。
 ※ 文字の拡大等は、わかりやすいようにと考え、本多が行いました。
この記事を読んで、
 議員報酬で生活しようという考えを捨てて、
  会社勤めのひとびとや自営のひとびとが
    参加しやすい制度にすることが必要なことではないだろうか、
    と私は思いました。

いまの自治体における財政状況等を考えるとき、
  会社勤めのひとびとや自営のひとびとが参加しやすいように、
   夜間や土日などに議会を開き、
  議員報酬で生活しようという考えを捨て去り、
    その出席経費(交通費等の実費支弁)だけを支給すべきではないかと思うのです。
議員は、生活に余裕がある方々の〝遊び仕事〟でもなく、ましてや地域の名誉職でもない、といった気持ちをみんなが共有したうえで、議会を一生懸命に活動するひとびとが寄り集う場にしなくては、これからの時代に対応することができないのではないか・・・、と私は思っています。

こういった方向に進むためには、地方自治体職員の勤務時間についても大幅な制度改正が必要なことになるでしょう。
いまの勤務形態であれば、夜間や土日での勤務は時間外勤務となり、時間外勤務手当が支給されたり、勤務日の振替や代休などが必要になりますが、これらをなくすための勤務形態づくりも検討されなければ、議員になった方々が手弁当的(交通費等の実費支弁のみ)であるとき、自治体職員に時間外勤務手当を支給していたのでは、制度としておかしいものとならざるを得ないでしょう。

その町や村で暮らすひとびと、それぞれが苦労を分かち合う、そういった気持でなければ、新しい時代に向かう手立てを講じることはできないかもしれません。

南牧村の村議選無投票と下仁田町議会における議会基本条例に関する上毛新聞の記事を読んで、感じたことを述べさせていただきました。

皆さんは、どのようにお考えになるでしょうか。

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