2016年5月9日月曜日

どどめ

マルベリー (Mulberry)

若い皆さんからは、
 どどめって、なんですか?
と聞かれるかもしれませんが、養蚕が盛んにおこなわれていたとき、お蚕様といっしょに暮してきた思い出がある年代の方々には、どどめの味は、たいへん懐かしいものではないでしょうか。
2015.6.17(水)撮影
お蚕様は桑の葉を食べて、きれいな繭をつくり、養蚕農家の子どもたちは、どどめを食べて、唇や口のなか、着ているシャツまでも紫色に染め、野山を元気に飛び回っていたのですが、つくづく桑の木は、すごいものだと今でも思っています。
2016.5.9(月)撮影
カイコガであるお蚕様は、この桑の葉だけを食べて、きれいな繭をつくるのですが、子どもたちにおいしいどどめまでも提供してくれるという桑の木は、まさに魔法の木といってよいほどすばらしいものだと思うからです。
2016.5.9(月)撮影
でも、いまでは桑畑がなくなり、むかしの名残ともいうべき「まわり桑」が残されている畑を時々見かけます。
「まわり桑」には、その畑の境界を明示する目的があるとかで、桑畑の桑を抜き取ったときも「まわり桑」を残しておく農家が多いのだそうです。
私が暮らしている地域では、養蚕が行われなくなって久しいのですが、いまでも大きな屋根に「息抜き」のある農家を見かけます。
2016.2.8(月)撮影
桑畑が広がり、あっちもこっちも桑畑・・・といった時代には、大きな屋根に「息抜き」がある農家もたくさんあって、どこでも
 うちは、〇〇グラム掃きたてた
とか、
 うちは、〇〇貫目取った
といった会話が交わされていたものでした。
上の会話中の
 グラムは、カイコガの種-卵-の取り引き単位
  (参考までに、カイコガを数えるときは、〇〇匹でなく〇〇頭というそうです。
   この頭という単位について、一説によれば、カイコガは虫でなく、家畜と同様に扱ったためとか・・・ 
   ↑ うそかほんとうか私は知りませんので、疑問に思われた方は、調べてみてください。)
 貫目は、繭の収穫高(その重量)
という意味になります。
2015.6.17(水)撮影
こうした荒れ果てた桑畑(↑)も多く見かけます。
いまでは後継者不足もあって、ますます農地全体が荒れ果ててきたうように感じますが、大きくなった桑の木は、とくに目立つこともあって、たいへんさびしいものがあります。
これも時代の流れということになるのでしょうが、あちこちにまだ残っている桑の木には、懐かしい味のどどめ-いまは、マルベリーというべきか-がたくさんなります。
いまの子どもたちは、むかしの子どもたちと違って、どどめを採って食べることをしないので、どこでも食べ放題という状況になっていることは、まことにありがたいことではあるのですが、ちょっぴりさびしい気持ちもあります。
いまの子どもたちには、もっと外に出て、どどめやキイチゴなど、これからの時季に食べられるものを見つけ、いつ採れば甘くておいしいかといったことなども学んでほしいと思っているからです。
どどめがおいしくなったころ、桑の木の下で、唇、口のなかを紫色にして、どどめをもぐもぐ食べているおっちゃんを見つけたら、そのおっちゃんに聞いてみてください。
 それ、おいしいの?
と聞けば、そのおっちゃんは、
 おいしくなったどどめの見分け方、食べ方など
を親切に教えてくれると思いますよ。

これからの時季、野山に出かけて、
おいしいものを見つけてみませんか。

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