2016年5月3日火曜日

お金を地域内でまわすためには?

お金を地域で稼がなくては!

いま、わが国では製造業をはじめとして、いろいろな産業に元気がないといいますか、日本の経済を力強く牽引するパワーにあふれた産業が見当たらなくなったように感じています。
そういった状況下にあって、国を挙げて取り組んでいるのが、外国人観光客の呼び込みをはじめとする観光産業です。
私の身近なところでいえば、世界文化遺産の旧富岡製糸場がある群馬県富岡市の場合、2016年度の入場者数を100万人と見込み、さまざまな対策が講じられています。
昨年の5月、上毛新聞に掲載された記事です。
この記事は、

 6月で世界文化遺産登録1年を迎える富岡製糸場も今後30年の改修に100億円以上が必要だ。
待っていても客が集まる〝登録効果〟は長く続かないだろう。国内人口が減るなか、いかに再来訪の客を増やし、外国人観光客を招き入れるか。日光市や東照宮の不断の売り込み努力には学ぶことが多いはずだ。

と結んでいます。

この連休期間中は、今年も多くの方々が来られて、旧富岡製糸場は大いに賑わっていることでしょう。

以前、つぎの記事(↓)

さびしくなってきた感じがします  世界文化遺産のまち・富岡のまちなか
http://geogunma.blogspot.jp/2016/01/blog-post_11.html

で、さびしい感じになった富岡市内を紹介しましたが、富岡製糸場の入場者数ではなく、旧富岡製糸場に来られた方々が観光客として、いかに富岡市で買い物や食事をしてくれるか・・・ということ、これがいちばん大事なことだと私は思うのです。
確かに多額な改修費用が必要な旧富岡製糸場にとって、たくさん入場料収入が得られ、それが改修費用や維持管理費用の全額に充当できれば、富岡市の一般財源からの持ち出しがなくなり、これほどいいことはないと思うのです。
しかし、いくら旧富岡製糸場の入場者が多く、そこでの入場料収入が多くあったにせよ、もしも旧富岡製糸場のまわりにある店の毎日が、閑古鳥の合唱というような状況になってしまっているとすれば、それらの店は存続できなくなり、やがて閉店となり、富岡市などへの納税もできなくなる・・・という事態になる、とそんなことも予想されます。

富岡製糸場と絹産業遺産群のひとつとして、群馬県伊勢崎市の田島弥平旧宅も世界文化遺産に登録されています。
以前に伊勢崎市に出向いた折、ある食堂に立ち寄ったのですが、そこのご主人にお聞きしたところ、

 田島弥平の旧宅?世界文化遺産?まったく関係ないやね。
 まちなかまで遠いので、わざわざこっちにまわって、食べに来てくれるということは、ないんじゃないの。

とのことでした。

田島弥平旧宅の位置等については、伊勢崎市のHPをご覧ください。
http://www.city.isesaki.lg.jp/www/contents/1357256409465/index.html

世界文化遺産に登録された資産を有する自治体では、あの手この手で誘客を図っているようですが、それが地域の経済に資する効果をあげているかといえば、どうもそのようなことはないように見受けられます。
やはり、商店とか食堂などで働いている人々が、

 たくさん人が来るようになって、たくさん売れるようになった

と実感できる、訪れた観光客によって、まちなかが賑やかになる、そんな光景が展開できてこそ、世界文化遺産による観光効果あり、ということになるのでしょう。
そして、売れる商品の生産や流通をはじめ、食事の原材料(食材等)について、可能な限り、地産地消を心がければ、外部(観光客)から収入を得て、その収入を地域内で循環させることができます。
この循環がうまくいけば、わざわざ地方創生うんぬんといわなくても、若者は定着するでしょうし、人口減少も緩やかなものになるのではないでしょうか。

皆さんは、どのようにお考えになりますか?

今回のブログは、2016.5.2付けの「お金が地域内でまわっているだろうか? 」の続編として、
世界文化遺産を通じての観光、その地域経済への効果の一端を考えてみました。
このことは、奥が深いうえ、幅広い内容であり、簡単なものではないのですが、
要は地元の商店や食堂が儲からなくては、
地元の商店、食堂はもとより、近隣の農家、ひいては自治体までもが衰退する、
そういった事態になりかねないのではないか、との思いを述べさせていただきました。
つぎは、ジオパークを通じた地域づくり、それはどのようにしたらよいのかといったことについて、
「お金が地域内でまわっているだろうか? 」の続々編として、
のちほど紹介させていただきたいと思っています。

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