なぜ除雪作業が遅れるのか?
その原因を考えてみました
この大雪での除雪作業について、新聞やテレビで検証されたり、国会でも議論が行われましたが、山間地の道路を例にして、なぜ除雪作業が遅れるのか?その原因を私なりに考えてみました。
ここでの山間地の道路とは、国道などの峠越えをする道路という幹線道路でなく、山間部にある県道や市町村道で、これが不通になれば、どこにも行けない、だれも来られない、といった住民の生活に欠くことができない道路といった意味で使用しています。
山間地の道路でも雪の坂道が登れず、立ち往生した自動車が除雪作業の障害になることがありますが、県道や市町村道の場合の大きな除雪上の障害物は、道路わきの斜面などの竹木類であろろうと思われます。
山間地の道路の場合、道路わきの竹木類が雪の重みで、道路側に倒れ込んできて、道路をふさいだり、道路と平行して設置してある電線、電話線を切断したり、電柱を押し倒したり・・・といったことが発生し、これが除雪作業を遅れさせる大きな原因の一つであると、私は考えています。
下の写真は、それほどの降雨量でなかったはずなのですが、道路わきの斜面から立ち枯れの木が県道に落ちてきたときのようすです。
撮影:2003.10.9 |
いま、私が住む地域全体で、山林が荒廃してしまい、あちこちで倒木の被害も出ていると聞いています。
そのもとを考えれば、山の木を管理しても儲からないといったことになると思うのですが、山林の荒廃によって、野生動物の被害が増えたり、大きくなった道路わきの木によって、道路が日陰になって、いったん雪が降ると、なかなか溶けない、といった事態も増えつつあります。
山間地の道路の場合、片側が山で、もう片側は川といった地形のなかを縫うようにして、道路が開削され、その道路に沿うようにして、電気や電話などが敷設されています。
撮影:2014.2.25 |
この斜面側に電柱を立てなくてもよいのに、と思われるかもしれませんが、向かって右際は、川になっていて、県道の歩道部分も場所によっては、川側にはみ出している状況であり、とても電柱を立てらる状況ではないのです。
山間地の道路の多くは、このような地形の制約をはじめ、日当たりのよくない場所に道路がつくられてきた、といった経緯もあります。
日当たりがよく平坦な土地は、ことのほか山間地では貴重であり、こういった土地を道路用地にすることは、まったく論外であったからでしょう。
ましてや、今回のような大雪になるといったことは、だれにも想像できないことでしたので、雪が降ったあと、いく日か路面凍結に注意すれば・・・といったことで、今日に至ってきたのですが、いまから道路を日当たりによいほうにつくりかえることは実現困難ですが、せめて道路のわきの竹木類を所有者が適正に管理し、道路の除雪作業時はもちろんのこと、いつでも道路の通行に支障がないようにしていただけないものか、と私は思うのです。
撮影:2013.11.19 |
高速道路の下仁田インターを下りて、下仁田から長野県に向かうとき、ここを通るのですが、昼なお暗き・・・といった道路で、冬季に雪が降りますと、杉木立が日照を阻害するため、いく日も雪が残るといった状況でした。
こうした状況を見かねてだと思うのですが、地元の方々の「馬山を考える会」の皆さんをはじめ、下仁田町の行政が一体になって、杉林の所有者の方と交渉され、杉を伐採して、そのあとにあじさいを植えて、あじさい園をつくられました。
いまでは、道路を通る人々や車も安全ですし、あじさいの花が咲くころは、多くの方々が訪れる〝花の名所〟にもなりました。
山間地の道路を守るうえで、馬山の取り組みは、一つのすばらしい見本といってよいと、私は思っています。
今回の大雪を経験して、自分の家のまわりをはじめ、道路わきにある竹木類など、除雪の障害になったものを平素から除去しておく、といった姿勢を地域全体で保持することが大切なことではないかと、私は思っています。
こうした対応がなされれば、除雪作業がよりスムースに進み、早期に除雪作業が完了するでしょうし、冬季の積雪に限らず、台風や大雨のときなどの倒木や落石事故を未然に防ぐ効果も期待できるのではないでしょうか。
これから先、山間地の道路では、道路に面した空き家の管理が行き届かず、倒れそうであるとか瓦が落ちそうだ、というケースもますます増えてくることでしょう。
山間地に住む人々の現状-高齢化・過疎化の急速な進展-をふまえ、
道路法を所管する国や自治体の道路行政、
道交法を所管する警察行政、
住民の暮らしをまもる市町村行政、
地元の住民
の4者が一体となって、
これからの安全な暮らしをどうつくるのかを、
いま真剣に考えることが求められている、
とも私は思います。
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