2017年11月23日木曜日

とり はきたい

けやき はんたるい

これを読んで、いったい何の呪文-おまじない-かと思われたかもしれませんが、これは石工の世界で通用することば-いわば符丁-なのだそうです。

椚石の関係で、青木石材(青木清二さん)にお世話になったこと、また富岡市立黒岩小学校の二宮金次郎像と佐藤茂助翁を紹介しました(↓)が、

豊栄石(ほうえいいし) 青木石材 (群馬県南牧村)

二宮金次郎像:富岡市立黒岩小学校 佐藤茂助翁:椚石(くぬぎいし)でつくられた金次郎像

ここでは青木清二さんに教えていただいた石工の世界の符丁を紹介します。
青木清二さんによれば、石工の皆さんだけで話したいときには、石工の皆さんにしかわからない符丁を用いていたそうです。
昭和のはじめ、椚石が大蔵省(当時)の建物に使われるとき、たくさんの石工が椚地区に集まったそうですが、浴場に一般の人がいるときなどで、石工同士が話すときは、石工の世界の符丁を使っていたそうです。
石工の世界の符丁を知らない人は、
 この人たちは何を言っているのだろう ・・・
と不思議に思ったかもしれません。
青木さんによれば、青木さんのお父さんの場合、お客さんがあってお昼近くになったときには、
 かね
と小さい声でお母さんに言って、お客さんに心配させないように気をつかっていたそうです。
また、たくさんの石工の皆さんが集まったとき、下の部屋から棒でつついて、合図をしたご先祖様のお話も聞かせていただきました。
こうした貴重なお話を椚石の火鉢で暖をとりながらという贅沢な時間を過ごさせていただいたわけですが、もうひとつ受験生の方向きのお話を。
椚石は五角形の柱状節理になっているため、五角と合格をかけて、合格石というものも青木石材店にはあります。
また、画像では紹介しませんが、石英安山岩の安山岩の安山と安産をかけて、安産石という安産祈願にご利益がある感じの石もあります。
受験生の皆さん、これから出産されるという方には、これらにおまいりされるとご利益があるかも・・・

ところで、符丁の意味ですが、

 とり はきたい → お酒を飲みたい
 けやき はんたるい → お菓子がおいしい
 かね → ごはん(この場合では、昼ご飯の用意をとの意味で、青木清二さんのお父さんがお母さんに対して、「お昼ご飯の
  用意を」と言えば、お客さんが遠慮するからという配慮であったそうです)

というものだそうです。

まだまだこのほかにも符丁を教えていただいたのですが、それはまた別の機会ということで。
いまは、符丁を使う石工の方は少なくなったそうですが、まだまだ年配の石工の方では、符丁を使う方がおられるそうです。
とても興味深い石工の世界の符丁のお話でした。

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