日本ジオパーク
2017.9.27(水)15:00、本日の第31回日本ジオパーク委員会の審査結果が明らかになりました。
審査結果は、以下のとおりです。
※ ブログへの掲載に際して、
本多が改行、文字の強調などを行いました。
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2017年9月27日
ユネスコ世界ジオパーク国内再認定および日本ジオパーク新規認定地域の審査結果
日本ジオパーク委員会
日本ジオパーク委員会は、7・8月に現地審査を行った2地域の再認定と2地域の新規認定の可否について審議し、以下のとおり決定した。
条件付き再認定:山陰海岸ユネスコ世界ジオパーク、阿蘇ユネスコ世界ジオパーク
認定保留:国引き
認定見送り:十勝岳
現在、日本ジオパークは43地域である。
1.山陰海岸ユネスコ世界ジオパーク
この4年間、山陰海岸ユネスコ世界ジオパークでは、活発なジオパーク活動が各地で取り組まれ、前向きな展開が見受けられた。
また、2015年にはAPGN大会を開催した。
その一方で、ジオパーク内のあらゆるレベルでの連携を欠いており、ユネスコ世界ジオパークとして持続的な運営形態になっているとは言いがたい。
その一方で、ジオパーク内のあらゆるレベルでの連携を欠いており、ユネスコ世界ジオパークとして持続的な運営形態になっているとは言いがたい。
ジオパークを使って地域全体をどうしたいのか、この課題を先送りせず早急に解決する必要がある。
推進協議会や同事務局を含めた様々な主体が問題解決のために対話を繰り返し、山陰海岸ユネスコ世界ジオパークとしての持続的発展の在り方を考えて欲しい。
以上のことから、日本ジオパークとして条件付き再認定とした。
2.阿蘇ユネスコ世界ジオパーク
熊本地震からの復興の途上、阿蘇ジオパークガイド協会を中心とした活動が地域に力を与えている。
また、草原環境の保全では環境省やNPO法人との連携が、火山防災では阿蘇火山防災協議会を通じた京都大学や気象庁との緊密な連携が進んでいる。
リモナイト(阿蘇黄土)の保全とその教育的活用において、地元企業との協力体制が構築されていることも評価できる。
その一方で、人材不足による事務局体制の弱体化が課題であり、協議会のガバナンスが見えてこない。
地域全体での情報共有が不足しており、ジオパークを使ってこの地域をどうしたいのか、世界に対してどのような貢献をしたいのかを、よく検討していく必要がある。
また、前回の審査における指摘事項についても、引き続き改善の取り組みが必要である。
以上のことから、日本ジオパークとして条件付き再認定とした。
以上のことから、日本ジオパークとして条件付き再認定とした。
3.十勝岳
十勝岳ジオパーク構想は、大雪山国立公園に含まれる十勝岳の噴火災害を幾度も経験し、早くから火山のハザードマップを作成するなど、自然災害への対策が行われてきた地域である。
さらに、周氷河作用等によって形成された波状丘陵地形を農業や観光業にうまく活用し、北海道でも有数の観光地となった。
住民は十勝岳を地域の誇るべき地域資源と認識しており、防災教育も長年実施されている。
拠点施設や解説板等でも防災情報がしっかりと紹介され、正しい火山の知識とともに安心して現地を見学できるようになっている。
国立公園内のジオサイトを含む全てのサイトがカルテで管理され、丘陵地形も景観条例で保護されているなど、保全の取組が進められている。
しかしながら、事務局が美瑛・上富良野の2つの町それぞれに置かれており、また協議会専門部会の活動もまだ取組が開始されたばかりであり、ジオパークとしての計画が実施できる持続可能な運営体制になっていない。
以上のことから日本ジオパークとしての認定を見送ることとした。
4.国引き
国引きジオパーク構想は、島根半島の形成、出雲平野と松江平野の形成、連結汽水湖(宍道湖・中海)の形成、人の定着や集落の形成などの科学的なストーリーの中に、古代の人々の世界観を代表する「国引き神話」の逸話が織り込まれて、現代科学と古代の世界観の対比が語られている。
ガイドは、自然科学と神話とを区別して説明するなどの工夫をしていた。
大学、民間、地域、ガイド、行政などの連携がとれた運営組織が機能しはじめており、未整備である解説板や拠点施設などは事業計画に盛り込まれている。
しかしながら、現在の名称とテーマでは、神話と島根半島のなりたちや日本海の拡大との関係について誤解を招く恐れがある。
名称およびテーマを再検討することを条件に、日本ジオパークとしての認定を保留とした。
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ことしの秋、いくつかのジオパークが再認定審査を受けることになっていて、そのなかには2年前に条件付き再認定になったジオパークもあります。これからの日本ジオパークの方向性を考えるうえで、本日の第31回日本ジオパーク委員会の開催結果は、たいへん示唆に富むものといえるのではないでしょうか。
すなわち、日本ジオパークとしての個々のジオパークの活動を高め、日本全体のジオパーク活動の向上をめざす、そんな方向に大きく舵をきったのではないかと、私はそのように感じています。
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