「化石探しにコツがありますか」と聞かれることがあります。
私は、「化石探しにコツはなく、根気よく続けられて運がよければ、ということではないか」とお答えしています。
化石産地に出向いて、すぐに見つけることができる化石もありますが、珍しい化石に関しては、なかなか容易に見つけることはできません。
たとえば、下仁田方面では、新生代の化石は比較的容易に見つけることができますが、中生代の化石となりますと、簡単に見つけることはできません。
撮影:2011.10.23 |
1 根気・注意力
何度も何度も足を運んで、黙々と岩石を割る作業を続けることになります。
ハンマーでたたいて岩石を割ったり、鏨をつかって岩石を割ったりしますので、腕は疲れてきますし、同じ姿勢での長時間の作業によって、腰も痛くなってくる、といったこともあります。
また、私の場合、蛇と毛虫が嫌い、ということもあって、化石探しには晩秋から春先までに出向くのですが、昼間でも薄暗い山の中や川原にいますと、とても寒く、体の芯まで冷え込んできます。
※ 冬枯れの時期は、蛇と毛虫がいない、ということのほか、葉が落ちて、見通しがよくなっていて、フィールドの観察に適しているということもあります。寒さへの対応さえできれば、冬枯れの時期は、化石探しの適期ではないかと、私は考えています。
こうした作業が続けられるかどうか・・・が、まずは化石探しを楽しめるかどうかのポイントになるのではないでしょうか。
そして、根気といったことに関連して、注意力を高めることも必要なことであると思います。
化石のなかには、微細なものもありますし、断片のような状態で見つかる化石もあります。すべてが、完全な個体で見つかるということはありません。小さな破片のみ、といったこともあります。
これまでの講座において、必要な用具にルーペを含めていませんでしたが、できればルーペも持っていると便利ではないかと思います。
注意力を高めるためには、いろいろな化石を探して、どのような状態で見つかるものなのか、といったことを多く体験するとともに、化石図鑑等でいろいろな化石を調べておく、といった予習も効果的ではないかと思います。
小さな化石であっても、それが破片のようなものであっても見逃さない、といった気持ちで、化石を探すことが大事ではないかと思います。
2 運・観察力
この講座において、中学生が肉食恐竜の化石を発見したというニュースを紹介し、その前には、だれもが化石探しによって、化石の発見者になれる、ということも申し上げました。
中学生が発見したという事例をもとに考えてみるとき、これは単に運がよいといったことではないと思うのです。
中学生が発見した化石は、中学生が〝発見〟する前に多くの人が見ていたのではないでしょうか。
どうして、中学生が化石の発見者になれたかといえば、何人かが見逃していたものに対して、「これは、なんだろう?化石かな??」と思って、それを手に取った、という行動をしただけ、といってもよいでしょう。
化石を発見した中学生は、運がよかったということでなく、観察力が鋭く、実際の行動に移せた、この行動がすばらしいことであるといえるのではないでしょうか。
つまり、ただ漫然と見ているだけでは、すばらしい機会を自分のものにできないということなのです。←これは、私への戒めであります。
やはり、普段から観察する力を磨いておくことが重要なことといえるでしょう。
では、まったく運というものは関係ないかといえば、そのようなこともないと思います。
たとえば、私が割った岩石の中に貴重な化石が含まれていたにもかわらず、もう一回ハンマーで割ることをしなかったがために、これを発見することができなかった・・・ということもあるかもしれませんから。
いずれにしましても、化石探しは、とてもおもしろいものです。
けがをしないように気をつけて、化石探しを楽しみましょう。
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