2013年4月4日木曜日

化石の話

クーペリナ・ニッポニカ
 
 

           栃木は昔、テキサス州だった?化石が補強材に
 栃木県佐野市葛生化石館は2日、葛生地区の石灰岩地層から、約2億7000万年前の古生代ペルム紀に生息していた腕足動物の一種、クーペリナ属の化石が見つかったと発表した。
 
 化石館によると、クーペリナ属の化石発見は国内では初めて。1960年代には米テキサス州西部でも発見されており、化石館は、葛生一帯がかつてテキサス州近くにあったとする説を補強する発見としている。
 佐野市葛生化石館によると、腕足動物は古生代に繁栄した海の生き物で、2枚の殻がある。貝にも似ているが、それぞれの殻の大きさが異なる。その中で、クーペリナ属は熱帯性の浅海に生息したとされ、大きさが微小であるのが特徴だ。
 昨年夏頃、化石に詳しいマニアが石灰岩の塊を化石館に持ち込み、田沢純一・新潟大名誉教授の協力を得て調査を進めてきた。その結果、塊から計13個体を発見した。大きさは約2~2・5ミリだった。
 クーペリナ属は1966年にテキサス州西部で最初に発見された。その後、ベネズエラ、タイ南部でも見つかり、計3か所で5種類が報告されている。今回の13個体のうち11個体は5種類いずれもと特徴が異なり、化石館は新種として「クーペリナ・ニッポニカ」と名付けた。今後、日本古生物学会が発行する英文誌に論文が掲載される予定。
 葛生地区の石灰岩地層からは多くの化石が見つかっている。一帯は古生代ペルム紀には赤道付近にあり、生物が多い温暖な小島だったとされる。ただ、中国大陸近くだったなどとする説もある。化石館の奥村よほ子学芸員は、「今回、テキサス州西部と同じクーペリナ属の化石が見つかったことで、小島がテキサス州の近くにあったとする説の補強材料になる」と説明した。
2013431113  読売新聞)
 
私がブログで〝化石探し〟講座を始めたところ、偶然にもいろいろな化石発見ニュースがあって、化石探しが大好きなひとりとして、とてもうれしく思っています。
 
この記事のポイントを見てみましょう。
 
① やはりチャンスは、だれにでもある!ということ。
この記事では、化石に詳しいマニアとしか発見者のことが書かれていませんが、違う報道では、岐阜県にお住まいの方とのことです。
岐阜県にお住まいのアマチュアの方が栃木県佐野市で発見した化石、ということになります。
 
② そして、研究熱心であるということ。
 この化石を発見された方は、自ら化石を含む石灰岩を化学処理して、腕足動物の化石を発見したうえで、佐野市葛生化石館に持ち込んだということです。
たいへん小さな化石ですので、すぐすぐ見つけられるというものではないと思いますし、これほど珍しい化石であれば、発見できたことじたいが奇跡のようなものです。
そうしたなかで、この大発見に結びつけたわけですので、とにかく研究熱心な方である、ということがいえるのではないでしょうか。
 
下の写真は、葛生の石灰岩です。たくさんのフズリナがおわかりになると思います。
撮影:2012.9.8
このような石灰岩のなかから「クーペリナ・ニッポニカ」が見つかったのではないでしょうか。
    ※画面の左上の葉は、下仁田ねぎです。

 
③ この化石の発見によって、地球のおいたち-栃木のおいたち?-がわかること。
アメリカのテキサスから栃木へやってきたかも・・・といったことがわかるのです。
ほんとうにすごいことだと思いませんか。

下の写真は、下仁田で発見したフズリナの化石です。

撮影:2012.9.8
 
葛生の石灰岩と比べ、下仁田の石灰岩には、フズリナの数がきわめて少ないことに気づかれたことと思います。

石灰岩が形成されるときの状況によって、フズリナがどのような姿で残るのか・・・といった違いもありますし、フズリナのほかに、どのような生物がいたか・・・といったことも化石産地によって、大きな違いがあるといえますが、下仁田町でも「クーペリナ・ニッポニカ」が見つかるのではないだろうか・・・と、そんな気持ちになったニュースでした。

近いうち、下仁田町でも「見つかったよ!」というニュースを発信したいものですね。



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