-売りたいモノから、顧客がしたいいコトへ」
(久繁哲之介著・ちくま新書)
奥付きに「2013.8.10 第1刷発行」とあります。
きのう、所用があって出かけた先の書店で購入したのですが、おもしろくて一気に読み終えてしまいました。
◎ 負けに不思議の負けなし
この本を読んでいて、ふと、野村克也氏の「負けに不思議の負けなし」の言葉を思い出しました。
商店街は、衰退すべくして衰退していった・・・と、考えざるを得ない明白な原因があることに気づかされます。
以前、このブログで「一期一会のおもてなし」と題し、加賀屋旅館の取締役副社長 小田 與之彦(おだ よしひこ)さんの講演をご紹介
http://geogunma.blogspot.jp/2013/07/blog-post_2.html
させていただいたことがあります。
全国に数多の旅館がありながら、加賀屋旅館を33年連続で「おもてなし日本一」にしている、この原因は、経営者のやる気と旅館業に対する信念の違いに起因しているのだろうな、と思いました。
加賀屋旅館の取り組みは、宿泊客へのサービスがきめ細かいことであり、個々の宿泊客が望んでいることを察知する洞察力の見事さに尽きるといえるでしょう。
「かゆいところに手が届く」のではなく、「(かゆくなる前に)かゆくさせない」ほどの気配りをされていればこそ、私のようなものには「高い宿泊料金だな・・・」と思う金額でも多くの方々が大満足されるのは、そこにきちんとした理由-どこの旅館も真似すらできない加賀屋旅館のサービス体制の確立-があるからではないでしょうか。
加賀屋旅館の取り組みを貫く基本姿勢は、旅館側の都合に宿泊客を合わせるのでなく、宿泊客の都合に旅館が合わせるといった姿勢であると、私は理解しております。
ひるがえって、いま衰退している商店街にこのような基本姿勢があったかといえば・・・
買い物に来られる地元の人々が真に望む店づくりへの努力が十分でなかったから、衰退していってしまったといえるのでしょう。
下の画像は、2013.7.25に放送されたNHK「あさイチ」の一コマです。
この番組を視聴した友人から「富岡にあったスーパー、マルコーとかフレッセイ、ヤオコーがなくなってしまったの?」との電話がありました。
富岡実業高校の生徒さんが町なかで、収穫した野菜の実習販売をされているようすを放送したのですが、そのタイトルが「スーパー撤退の町に救世主 高校生の爽やかスーパー」とあったので、すべてのスーパーが富岡から撤退したと、友人は思ったとのことでした。
私が若いころ、お世話になった先生が、富岡市役所の近くに住んでいました。
そのころは、先生のお宅の近くには、Aコープのスーパーあり、商店街もいまより元気な時代でしたので、「住むのにいい場所だ」と自慢されていたのですが、Aコープのスーパーが店じまいをして、さらには商店街も閉店する店が増えて、その先生は、いつの間にか「買い物難民」になってしまいました。
いつだったか、国道254号沿いのスーパー(マルコー)で、その先生にお会いしたのですが、リュックサックを背負って、家から歩いてきたとのことでした。
すでに退職され、ご高齢になっている先生には、とてもたいへんなことであったと思います。
この友人によれば、ここ数年、とくに地方全体が落ち込んでいる状況を考えるとき、「スーパー撤退の町」というタイトルがあっても、全国の多くの人々は、不思議に思わない人が多いのではないかな、とのことでした。
私は、富岡の宮本町に当地のスーパーのはしりともいうべき、しみずスーパーと堀田屋スーパーがあったころのことを知っていますが、このころから今日にいたるまでの急激な変化には、ただただ驚くばかりです。
ご紹介した
「商店街再生の罠
-売りたいモノから、顧客がしたいコトへ」
(久繁哲之介著・ちくま新書)
には、とても興味深い内容がたくさん書かれています。
まちづくりなどに興味がある方は、とくにご一読されることをおすすめいたします。
また、私は第4章を読んで、「きょうは、暑いから・・・」「きょうは、風が強いから・・・」といった理由で、かつて前橋の職場に勤務していたとき、地下の食堂で昼食をすませて、町に出ない日が多かったことを反省しましたが、公務員の方々には必読の書といえるかもしれません。
とてもおもしろい本です。
※ おもしろい本でしたので、すこしでも早くにご紹介したいと思い、ブログに投稿させていただきました。
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