2015年3月9日月曜日

世界遺産センター(仮称)

富岡市内に設置するというけれど・・・

2015.3.5の上毛新聞です。
どこに設置するのか、どのような規模になるのか、新たに建物を建設するのか、どのような展示内容になるのか・・・、といった具体的なことは、この記事からはわかりませんが、
  「位置決定から2,3年で完成」
する計画とのことです。
この2枚の写真(↑・↓)は、

世界遺産は、地方創生の玉手箱となるのか?
高崎商科大学  地域創造フォーラム2015
http://geogunma.blogspot.jp/2015/03/blog-post.html

 で紹介させていただいた佐滝剛弘さんの講演で使用された画像を拝借したものです。
岡谷蚕糸博物館には、旧官営富岡製糸場時代の操糸器、

 これは、フランス式操糸器というもので、岡谷蚕糸博物館のホームページ「収蔵品紹介」では、

    官営富岡製糸場で使用された300台のうち唯一現存する繰糸機。

 や資料などが収蔵され、それらが展示されています。 

  岡谷蚕糸博物館のホームページ
      http://silkfact.jp/
リニューアル後の岡谷蚕糸博物館には、まだ行ったことがないのですが、実際に操業している製糸所での作業が見られる動態展示も加わったとのことで、とてもすばらしい展示になったと思われます。

なぜ、岡谷蚕糸博物館に旧官営富岡製糸場で使用されていた操糸器や資料が収蔵されているかといいますと、片倉工業創業者の出身地が岡谷であったこともあるのでしょうが、富岡市が積極的に旧官営富岡製糸場の機械や資料などの保全に関わってこなかったという歴史があるからではないでしょうか。

富岡市内に設置する世界遺産センター(仮称)について、どのようなものを展示するのかわかりませんが、パネルや映像などのほか、
  これだ!!!
という展示物があって、その展示物見たさに世界遺産センターに行きたくなる、というものがなければ、
  総合ガイダンス施設
とはいうけれど、あまり入場者数を見込むことができない施設になってしまうのではないでしょうか。

蚕糸博物館と世界遺産を紹介する施設は、性格が異なるものであり、これを同列にするのは無理があるかもしれませんが、
  いまの時代、中途半端なものをつくったのであれば、だれも見てくれない、
といったことは、十分に認識しておくべきかと思います。

設置費をはじめ、設置後の維持管理について、群馬県が全額を負担するのか、富岡市の負担になるのか、こういったことも大いに気になるところですが、

どうせ、つくるのであれば、いいものをつくって、日本中いや世界中の方々が、
  富岡に行きたい!!!
と思わせるようなものをつくるべきでしょう。

と、威勢よいことを言ってみたものの・・・

これからの富岡市の財政状況等を考えるとき、富岡市の負担がかさむ世界遺産センターであれば、あえて設置する必要があるのかどうか、ここからよく検討したほうがよいように思います。

おそらく、旧官営富岡製糸場の入場者は、来年度は大幅に減少し、減少したままの入場者数で、
再来年度以後も推移していくことになると私は予想しています。

どこかに建物をつくったりするのであれば、富岡市立美術博物館(↑)の一角を世界遺産センター(仮称)にして、そこで世界遺産を紹介したほうが経費的に安上がりですし、すぐそばにある群馬県立自然史博物館(↓)とタイアップして、さまざまなことが学べる場にすることがよいのではないでしょうか。
富岡製糸場を一回り見て、さっさと富岡を去って行く方々が多いとのことです。
上の図は、
  世界遺産は、地方創生の玉手箱となるのか?
   高崎商科大学  地域創造フォーラム2015
において、大学生が調査した結果として発表されたものですが、富岡に滞在するのは、1~2時間が69%で最多となっていることを考えるとき、もっと富岡市全体をめぐっていただく仕掛けを考えることも必要なことだと思うのです。

今後は、旧官営富岡製糸場と市立美術博物館(ここに世界遺産センターを併設します)と県立自然史博物館を結ぶ周遊ルートをつくるなどして、できるだけ富岡に滞在していただく時間を増やす工夫をすることが大切なことだと思います。
季節と曜日によっては、来場者数が少ない旧官営富岡製糸場ではありますが、今後は、このような状態が当たり前の姿になることでしょう。

これからの厳しい財政状況を考えるとき、富岡市に設置するのであれば、世界遺産センター(仮称)の必要性をよく検討したうえで、設置場所の選定をはじめ、経費負担等について、十分に市民の多くが納得できるものにしていただきたいと思っています。

次世代に負の財産を残さないためにも・・・

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