2014年5月23日金曜日

人口減少時代-効果的な対策は?

人口増への効果的な対策とは・・・?

昨日(2014.5.22)の上毛新聞です。
上毛新聞 2014.5.22
この記事によれば、住む地区や施工業者が地元であることをはじめ、こどもの数などいろいろな条件によっては、桐生市が最高額200万円を桐生市に転入される方に補助しようというものです。
また、「県内では8町村・・・定住促進を目的とした住宅取得費の補助制度を設けているが、全国でも200万円の高額な支援はないという」とのことです。
上毛新聞 2014.5.22
2014.5.10の上毛新聞で、桐生市が市部でも人口減少が大きいと報道されていましたが、その危機感もあって、最高額200万円の補助、といった制度をつくったのでしょう。
上毛新聞 2014.5.10
でも・・・と、私は思ってしまうのです。
といいますのは、桐生市に親が住んでいるとか、親が保有している土地に家を建てるといった縁故関係があれば、土地を購入しなくてよいとか、多少は買い物やこどもの通学に不便でも仕方ないか・・と考え、家を建てて、桐生市に転入してくるかもしれません。

しかし、こうした縁故関係が桐生市内になく、また、群馬に縁故関係がないため、群馬県内のどこでもよい(というのは、オーバーですね。やはり、通勤や生活のための範囲内ということで、ある程度の地域内で、という選択範囲になるとは思いますが)という場合、どのような場所に住みたいと考えるでしょうか。

新たに土地と住宅を購入したいと考えている働き盛りの世帯(この場合、30歳代で、夫は会社員で、妻はパート勤務、こども2人の4人家族とし、こどもは小学生と未就学児としましょう)は、どのような場所に家を建てたいと思うでしょうか。

いろいろな考えがあるかと思いますが、一般的には、
 ① 自然災害(土砂崩れや洪水など)の心配がなく、日当たりがよい場所
 ② 通勤(夫の勤務先、妻のパート勤務先)に便利な場所
 ③ 未就学児の預け先が近く(あるいは、通勤経路上)にあること
 ④ 小学校、中学校などが近くにあること
 ⑤ スーパーなどがあって、食料品、日用品等の買い物に不自由しない場所
 ⑥ そして、納得できる土地代金、住宅取得費(お買い得感)であること
などをもとにして、家を建てる場所を決めるのではないでしょうか。

すくなくても一般的には、その方にとって生活しやすい場所を優先し、そこに定住して、暮らしながら働き、子育てをする、ということになるのではないでしょうか。

私が、いま家を建てたいと考え、どこに家を建てようか考えていると仮定したとき、建築に際して補助金がいただけるというのは、とてもありがたいことですが、家を建ててからの生活、

  自分や妻の通勤、こどもの通学(就学環境)、ふだんの生活への利便性確保

を考えるため、かならずしも補助金交付が決め手にはならないと思うかもしれません。
もちろん、いろいろな条件を精査したうえで、結果として補助金を交付していただける市に転入することになるかもしれませんが、私の場合、かならずしも補助金は決め手になることもなく、呼び水にもならないのではないかと考えると思います。

むしろ、勤務や通学、生活などの利便を優先したほうが、生活していくうえで、通勤費や通学定期代などのコスト低減にもなり、最終的には、生活コストを低く抑えることになり、新築時の補助金額をいただかなくても・・・といった計算もしてしまいます。

定住促進の補助制度を設けている市町村に、私がジオパーク活動で出向いている町もありますので、こうした補助制度が無意味だと言っている、といったふうに受け取られては困るのですが、人口増への有効な対策か、効果的な方策かといえば、たいへん懐疑的であることは、これまでの状況-定住促進補助を実施している自治体の全体にいえることは、人口に社会増がなく、急激な自然減が続く状況-が物語っているように、私は感じています。

やはり、前掲の記事(2014.5.10)の南牧村企画情報課によるコメントのとおり、

 若い世代の勤め先が確保できないと

ということではないでしょうか。

私は、学校を卒業して、勤め先(農業などの自営を含む)で給料を得て、結婚し、マイホームをつくる、というのが一般的な流れであり、まずは働く場があること、これが大前提になって、若者の人生設計がつくられるのではないかと思います。

むしろ、家があることではなく、働き、収入を得る道、場所が若者らに用意されていれば、そこで得た収入で家を建てたり、住みよいまちづくりを若者らが自らの手で行うことでしょう。

いま、急激な過疎の進行によって、よく話題にあがる南牧村は、江戸時代の砥石の採掘にはじまり、明治期のこんにゃく栽培など、鉱山開発や農産物の特産地化などによって、たいへんな繁栄をしていたものでした。

http://geogunma.blogspot.jp/2014/05/blog-post_10.html
蒟蒻平八(こんにゃくへいはち)

当たり前のことですが、南牧村の人々は、座して繁栄を手中にしたわけでなく、先人の方々の知恵と熱意、努力、行動力によって、人々は豊かな生活をし、豊かな地域づくりが行われてきたのです。

くどいようですが、収入を得る場所を確保し、生活をおくることが可能な基盤を整備すれば、家を建てるための補助金を出さなくても、多くの人々が家を建てる、と私は考えています。

むかしの人々の生き方に学び、これからの時代を新しい視点で見つめ、これから先、それぞれの地域、市町村で、どのようにしたらよいか、どのような方法で、収入を得ていくかなどを一生懸命に考えていきたいものだ、と思うこのごろです。

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