まずは 農家がよい価格で 繭を売れないことには
養蚕は続かないのでは・・?
2016.3.23(水)の上毛新聞記事(その一部)です。
富岡市内3か所の遊休農地に、5,000本の桑苗を植える計画だとか・・・。
この記事には、桑苗の植え付け作業の写真も掲載されています。
私の生家は、養蚕農家であったのですが、繭の価格が安くなり、採算がとれなくなってきた昭和40年代のはじめには、桑の木を抜き取って、こんにゃくの栽培に転換しました。
桑の木を抜き取り、それを畑の真ん中に積み上げて、風がない静かな日に燃やしたものでした。
あのころは、私の生家ばかりでなく、地区全体の農家が養蚕をあきらめ、桑の葉がたくさん取れるようになった桑の木を抜き取り、何日もかけて燃やしていたことを覚えています。
上毛新聞の記事を読んで、桑苗を植え付けたという丹生湖畔の畑に行ってみました。
植え付けられた桑苗・丹生湖畔(2016.3.27撮影) |
その後、おじの家で、おじが桑苗づくりをしていたのを見ていますが、丹生湖畔で見る桑苗は、私にとって半世紀ぶりぐらい、ということになります。
植え付けられた桑苗・丹生湖畔(2016.3.27撮影) |
いまやカイコは、絹織物などの素材(糸)提供にとどまらず、いろいろな分野での活用方法が検討されているとのことで、カイコの将来展望に明るい部分もあるのかもしれませんが、いまの状況下で、桑苗を植え付けたり、養蚕の担い手を育成するというのは、いかがなものなのだろうかと私は思ってしまいます。
桑園の肥培管理をはじめ、養蚕のための設備や道具類の確保、飼育技術の習得など、お蚕様を相手にすること-養蚕-は、稲作や畜産、畑作、花卉栽培など、農業にはいろいろなものがありますが、とくに困難なものではないかと、父母の姿を見ていて、私はそのように感じています。
放置された桑畑(2013.7.3撮影) |
養蚕に限らず、新規に就農するときは、設備などの確保に多額の経費を要するとともに、生産物が出荷できるなど、なんとか目鼻がつくまでに長い時間も要するものです。
もし、将来の展望、見込みがないとすれば、私が子どものときに手伝わされた桑の木の抜き取りと焼却作業、それをしなければならない日が将来も起こりうるかもしれません。
あるいは、抜き取りも焼却もされず、桑の木が畑に放置されたままとなって、荒れ果てた姿をさらしているかもしれません。
新聞記事にあった桑苗の植え付けや養蚕の担い手育成などは、片倉工業富岡工場跡が世界遺産になったからという、そんな単純なことで行われているものではないと思っていますが、
一生懸命に養蚕に取り組んでみたいという新規就農(もちろん新規就農以外の農業者も含めて)の方々が、
養蚕をやってきてよかった
と、あとで振り返ることができるような手立てを、行政にはよく講じていただきたいと思っているところです。
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