2013年4月1日月曜日

私の体験的〝化石探し〟講座

第5回 化石を探しに行きましょう。
 
実際に化石探しに出かける際の注意事項をはじめ、化石産地で気をつけたいことを述べさせていただきます。
 
1 まずは、自宅からいちばん近い化石産地へ出かけましょう。
 
化石産地によって、発見が期待できる化石が違いますが、まずは化石探しの第一歩として、遠い化石産地でなく近い化石産地に出かけ、化石を探すためのトレーニングをしてください。
最初から遠くの化石産地に出かけて大物を狙う、というのもいいでしょうけれど、まずは腕ならしといった考えで、近くの化石産地へ出かけてみましょう。
 
2 かならず行先を家族に伝えておきましょう。
 
これは化石探しに限らず、行先を明らかにしておくことは、とても大切なことです。まして、化石探しということになりますと、危険なことがないとはいえませんので、帰宅予定時刻とあわせて、かならず行先を家族に伝えておきましょう。
 
3 携帯電話を携行しましょう。
 
携帯電話をお持ちの方は、化石産地に到着した時点で、すぐに圏内か圏外かを確認し、圏外であるときは、通話ができるところに移動して、そこから「化石探しをする場所は、圏外で通話ができない。これから1時間間隔で、通話ができる場所に移動し、こちらから電話する」といった旨の連絡を家族にしておきましょう。こうした対応をしておけば、家族の方が安心すると思います。
 
それでは、化石産地に出かけましょう。

撮影:2011.6.5
この写真は、化石探しをしているところですが、画面右の斜面のような崖下に化石産地があることが多いものです。また、大水などによって、こうした沢筋では、倒木や大きな岩がごろごろしていて、足場もよくありません。
 ※ この写真では、ヘルメットをかぶっていませんが、安全確保のため、かならずヘルメットをかぶりましょう。
 
4 化石産地に着いたら、最初に周囲の状況をよく確認しましょう。
 
すぐに化石を探したいところですが、足元が安定しているか、崖の上に浮石などがないか、枯れ木などが落ちてくる心配がないか・・・といったことを最初によく確認することが大切です。
そして、危ないと思ったら近寄らない、といった判断をする、これがとても大事なことです。
 
5 つぎに地層を観察しましょう。
 
やみくもに岩石を割ったところで、化石を発見できるものではありません。まずは、露頭のなかに化石が含まれていないかをはじめ、地層を細かく観察しましょう。
これまでに得ている化石産地の情報で、〇〇層といった地層があらかじめわかっているときは、その地層の特色を確認してみましょう。
 
6 間隔をあけて、化石を採取しましょう。
 
単独での化石探しであれば問題ありませんが、何人かで出かけたときは、あまり近寄らないでください。化石探しに夢中になってきますと、ハンマーで岩石をたたくことに集中してしまい、割れた細かい石の行先を考えない、といったことになってしまうものです。
私は、これまでに何度か同行者のたたいた岩石の破片がからだにあたったことがあります。あるときは、ヘルメットにあたって、「コーン」といい音がしたこともあります。
幸いなことにけがをしませんでしたが、自分がけがをしない、同行者にけがをさせないといったことを考えて、化石を採取しているひとの近くでの化石採取はやめましょう。
  ※ 上の写真のように、きちんとヘルメットをかぶってください。
 
7 採取地点をきちんと記録しましょう。
私は、地図と野帳への記録とあわせて、上のような写真を撮影します。採取した場所にハンマーと手袋などを置いて遠景とともに撮影し、あとでレタッチソフトをつかって、画像に「この位置ですよ」という意味で、赤い矢印を入れておきます。
化石を採取したときの状況を細かく記録しておくことによって、あとあとの調査研究に役立つことになります。
 
8 いちばん気をつけたいこと
 
それは、むやみやたらと露頭を崩さないこと、そして割った石は、危なくないようにまとめて置いて、けっして散らかしたままにしておかないということです。
ときどき化石産地で、散らかしたままの状態を見受けますが、つねにきちんと片づけておきたいものだと思います。
こうした気配りによって、これからも多くの方々が化石探しを楽しむことができると、私は思っています。
 
次回は、採取した化石をどうすればよいか、をお話しさせていただきます。

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