2015年2月22日日曜日

富岡市-2015年度一般会計当初予算案

こんなことで、だいじょうぶなのかな・・・

2015.2.21(土)の上毛新聞に、富岡市の予算に関する記事が掲載されました。
予算案の主要事業には、新庁舎の建設にかかる6億7千万円をはじめ、陸上競技場の改修工事費、清掃センターの延命化補修工事費、中学校への太陽光発電導入費など、いわゆる公共事業関連経費が多く盛り込まれています。
また、この主要事業にはありませんが、旧官営富岡製糸場関連の整備事業等もあり、公共事業関連予算が多い内容になっている予算案といえるかもしれません。
ふるさと納税の返礼品として、以前の新聞報道によれば、納税額によっては高級な絹製品の洋服を贈るとのことで、それらの経費を計上していると思われますが、返礼品の予算額の多さも目をひきます。
いま、多くの市町村がふるさと納税の額を増やそうと、ふるさと納税をされた方々に対して、さまざまな品を贈ることにしていますが、こうしたサービス合戦のようなことは、やめたほうがよいと私は考えています。
しかし、いったん始まった各自治体の返礼品の豪華さを競うサービス合戦は、国が自治体に対して、一斉にストップさせない限り、ストップできないものであると思っています。
ふるさと納税の制度全体について、見直しをするか廃止すべきであると私は感じています。
それにしても1千2百万円の返礼品予算は、ふるさと納税での収納額をいくらと見込んでいるかわかりませんが、ふるさと納税をされた方々には、〝おいしいお返し〟といえるのではないか・・・と私は想像しています。
社宅の1棟を調査改修して、座繰り体験などの事業に活用する予算として、1億3千万円を計上したとのことですが、どの社宅にするのかわかりませんが、「旧富岡製糸場建造物群調査報告書(平成18年2月・富岡市教育委員会発行)によれば、社宅の内部は、こんな状態になっているものもあるとか・・・
玄関の状況です。
天井の状況です。
1億3千万円もの予算があれば、もっとよい建物を建設して、すばらしい体験施設をつくることができるのではないでしょうか。
乾燥場や社宅、寄宿舎など、旧官営富岡製糸場の創設期以後の建物なども保存するといった考え方をやめて、ほんとうに必要なものだけを保存するといった考え方があってもよいように思うのですが ・・・
腐った社宅に大金を投じたからといって、いかほどの効果があるものか・・・と、とても疑問に思います。
養蚕継承と富岡シルクの活用予算として、4千8百万円を計上したとのことで、そのなかには市民養蚕ということにも取り組むとなっていますが、

 養蚕農家が一生懸命にお蚕を飼い、
  養蚕農家の方々がたいへんな思いをして、お蚕を大切に育てるからこそ、
   よい繭を生産することができること

 を考えるとき、

養蚕の経験がない素人(どんなにすごいプロでも最初は、ずぶの素人ということになりますが・・・)が、お蚕を飼って、よい繭ができるはずがないと、養蚕農家に生まれ育った私は思っています。

市民がお蚕を飼って、繭をつくったとして、良質な繭を生産することはできないでしょう。
そんな繭から絹織物がつくられたとして、消費者の心をうち、消費者の意向にそう絹製品ができるとも思えません。

お蚕を飼って、繭を出荷する作業-養蚕-は、長年養蚕に取り組んでいるプロの農家でさえ、ときに失敗するほど難しいものなのです。
市民養蚕に対する予算は、まったく効果が期待できない予算であり、意味のない事業といえるのではないでしょうか。

養蚕振興とは、プロの養蚕農家が出荷する繭の価格がよいこと、さらには継続的な販路が確保されていることであり、これを実現すれば、養蚕農家は存続することができるはずです。

市民が蚕を飼ってもよいと思いますが、それが養蚕振興に結びつくと考えるのは、プロの養蚕農家に対して失礼千万なことであるとも私は思います。

 養蚕農家が存続できる環境にすることこそ養蚕振興である
 
  と、私は考えます。

※ 給食費の無料化に関しては、後日別の機会に述べさせていただくことにします。
製糸場の運営経費について、入場料収入と売店手数料で賄うとのことですが、そもそも製糸場の運営のなかに、建物の維持管理費用がどの程度かかっているのか、それが不明の段階では、なんともわからない数字ですが、11億8千万円/年間の収入見込みは、とても大きな金額であるといえるでしょう。
しかし、入場料収入をはじめ、売店手数料などが見込みどおりに入ってくるでしょうか。

たとえば、石見銀山の「石見銀山世界遺産センター」の2010年報によれば、

 館の入館者数は 130,280 人で、対前年度比 25.7%減、(略)
 世界遺産登録 から 3 年を経過する中で、集客効果は予測より早い段階で平静化(略)
  一方、有料展示室観覧者数は 54,992 人。入館者数の減少に伴い対前年度比 21.0%減(略)

となっています。

はたして、2015年度は旧官営富岡製糸場に、100万人もの方々が入場するでしょうか・・・

旧官営富岡製糸場が富岡市の財政(ひいては、富岡市民の一人ひとり)に対して、重荷とならないよう、入場料収入や売店手数料が運営経費のほか、建物の改修費用などにも充当できる、それもかなりの金額になることを私は大いに期待しています。

そして、予算の全体はもとより、決算の時期になって、入場料収入が見込み額より少なかった・・・ということがないよう、市議会で十分に審議していただきたいものです。

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