世界遺産に登録されると、どんな効果があるの?
と、よく聞かれますが、私は、
世界遺産を保有する地元の熱意、考え方しだいでしょうね、
とお答えしています。
といいますのは、かりに世界遺産に登録されたとして、登録後の数年間(おそらく、1年とか2年ぐらい)は、見学客が押し寄せてくるでしょうけれど、そのあとは閑古鳥が鳴いている、といった状態が予測されるからです。
これは、世界遺産に登録されたところのどこでも共通する現象です、
どんなにすばらしい世界遺産であっても、よほどのファンでない限り、何度も何度も足を運んでくれることはないと考えるべきです。
冷風が噴き出ているだけの石垣を、多くの方々が何度も見たいと思うでしょうか。
煉瓦の倉庫にしたところで、多くの方々が何度も見たいと思われるでしょうか。
こうした〝現実〟をしっかり見据えたうえで、
世界遺産に登録されることが、
〇 わが市、わが町にとって、どのような意味を持つのか、
〇 これからのまちづくりにおいて、どのような位置づけをするのか、
といったことを住民と行政が話し合って、
基本的な考え方、その合意をはかっておくことが必要
なことであろうと考えます。
もし、こうした合意形成をはじめとして、世界遺産に登録されるためのさまざまな場面において、本気にがんばらないままの状態で、世界遺産に登録される事態になったら・・・
がんばらなくても世界遺産に登録されるという〝珍世界遺産〟ということで、さらに有名な世界遺産になるかもしれませんが・・・
といった冗談は、さておいて、
世界遺産に登録され、道路は大渋滞、住民の生活は大混乱・・・などといった事態を避け、
ゆるやかに成長、持続する地域での生活をベースにして、
将来も楽しく暮らせるまちづくり、
そのためのキーワードとして、世界遺産を考えること、
これが何よりも重要ではないか、
と私は考えています。
というしだいで、地元の熱意と考え方によって、十分に生かすこともできるでしょうし、宝の持ち腐れにしてしまい、やっかいもの扱いされかねない-たくさんの経費をつかって、困ったものだという批判等-ようなことにもなるでしょうね、ともお答えしています。
2 件のコメント:
同感の至り。残念ながら富岡製糸場と周辺の関係が連携がとれていなくて、あのレンガ建物も素晴らしいとは思いますが、建物だけでは真の魅力は無いと思います。それぞれ創意工夫はそれなりにされているのだとは思いますが、今は我田引水ではなく、この地域全体を魅力ある地域にすることが先だと思います。
コメントをお寄せいただき、たいへんありがとうございます。
地域全体を魅力ある地域にすること、これに尽きるのではないでしょうか。まずは、地域に魅力があって、多くの人々が出かけたくなる、そんな地域づくりを考えることが大切なことであると思います。
地域全体に魅力があって、「そういえば、世界遺産もあったな。ついでに見てくるか」ぐらいにならなくては・・・と思います。
地域の魅力づくりがしっかりできれば、台風のような一過性の騒ぎに終わらず、いつまでも静かに持続する「世界遺産がある町」になるのではないでしょうか。
冷風の出る石垣や煉瓦の倉庫があるだけでは、一過性のものになってしまうことは明らかです。
私は、この地で暮らす人々の魅力や地域の魅力によって、多くの方々に「出かけてみたいな」と思っていただける、これが肝心なことではないか・・・と考えています。
これからもよろしくお願いします。
コメントを投稿