2013年8月7日水曜日

世界遺産候補

世界遺産登録は、地域を活性化させるか

2013.8.3の読売新聞に掲載されたものです。
富士山の世界文化遺産登録に際して、除外勧告をされた三保の松原がにぎわっている反面、
清水の中心商店街は、
 人通りが少なく、
 シャッターを下ろしたままの店もある、
と、
 地方都市の経済状況の厳しさ
を述べたうえで、
世界遺産登録を地域の活性化にどう生かしていくか。
これからが知恵の絞りどころだ。
で結んでいます。
 
富岡製糸場前の通りをはじめ、宮本町と上町の駐車場から富岡製糸場までの通りは、製糸場見学に訪れる人々が歩いていますが、ほかの通りは閑散としています。
 
私は、このままの状態で推移すれば、富岡のまちなかは10年後、20年後といわず、もっと早くに多くの商店が店じまいをしたり、まちなかの住民がいなくなると推測しています。
   ※昨日、投稿したブログを参照してください。
 
富岡のまちなかは、高齢者が多い〝過疎地域〟になっているといってよい状態ですが、これからの数年で、さらに高齢化・過疎化が進展すると思っています。
 
むろん、既存の商店が店じまいをしたからといって、それで商店街が終わってしまうというものではありません。
世界遺産に登録されるであろうと見込み、多くの観光客が訪れることを想定して、それを新たなビジネス、商機と判断して、新規に開店する店が登場するからです。
現に富岡製糸場の周辺には、製糸場見学に訪れる人々をあてこんで、多くの店が開店しました。
 
来年、富岡製糸場と絹産業遺産群が、もし「不記載」あるいは登録が困難・・・という結果になれば、これまでに出店してきた店の多くは、潮が引くように店じまいをしてしまうことでしょう。
儲かると判断すれば出店する、儲からないと判断すれば撤退する、これがビジネスだからです。
 
私は、世界遺産に登録されることが、ただちに地域の活性化に結びつくとは考えていません。

このブログで述べさせていただいているとおり、富岡製糸場が世界遺産に登録されたとして、一時的には観光客がどっと押し寄せることになるでしょうが、そのあとは〝閑古鳥〟が鳴きっぱなし、といった状態になると推測しているからです。

片倉工業が操業停止後、片倉工業前をはじめとして、まちなかの店の多くが閉店しましたが、それはまさに全国的な戦後の地方都市の衰退を絵に描いたような沈み込みぶりでした。
 
むしろ、世界遺産登録うんぬんといったことを考えず、世界遺産登録に頼らず、私たちが住む富岡の魅力を存分に発揮する、そのためにどうするか、といったことに知恵を絞るほうが賢明ではないかと思っています。

世界遺産登録に蜜のような味を感じる方もいるのでしょうが、この蜜のような味は、まぼろしのようなものであり、はかないものであるかも・・・
 

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